日本がアジアの下位国になる日
ゴールドマン・サックスの調査によれば、インドの経済規模は2032年までに日本を上回り、中国は2040年までに米国を超えて世界最大の経済国になるという。また世界銀行のレポートでは、2020年にはインドネシアが世界5位の経済規模を持ち、タイは8位にランクインするだろうと予測されている。
予測の精度はさておき、それほどアジアの経済圏は潜在的な可能性を秘めている。だが、こうした外部の楽観的観測に反して、アジア経済の現場では、ある課題が成長のボトルネックとなりつつある。それは、企業を牽引するリーダーの不足である。
リーダー開発競争
「会社は社長の器(うつわ)以上にはならない」と言われることもあるように、トップに適材を得られるかどうかによって、企業の成長力はある程度、決まってしまう。さらに最新の組織論は、これからの企業がグローバル競争を勝ち抜くためには一人のカリスマによるリーダーシップでは事足りず、さまざまな能力や知見を持った複数のリーダーが一枚岩で機能する「リーダーシップ・チーム」が必要だと説く。また、一定以上の規模の組織を力強く動かすには、組織内の要所要所に熱意に満ちた有能な中間リーダーがいることが要(かなめ)であり、情報通信技術さえあればトップ以外は何千人でも現場担当者でよいといった「フラットな組織」には限界があることも徐々に分かってきた。
企業が厳しい競争の中で永続性を保つためには、商品開発力や市場開拓力だけでは実は不十分である。リーダーを確保する「人材開発力」の無い企業は、いかに商品開発や市場開拓に優れていても、最後には他社に買収されてしまうリスクを持つからだ。
日本企業も、他のアジア企業も、もちろん欧米企業も、これからはリーダー開発力を競う時代がきた。
戦略的リーダー確保
リーダーを確保する上では、
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何年以内に社内から何人を生み出し、社外から何人を確保するかといった「人材ポートフォリオ戦略」
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リーダー確保のため、どういった活動に幾らを投資するかといった「リーダー開発投資戦略」
などが必要だ。この二つの戦略が無いと、リーダー確保は”出たとこ勝負”と化してしまう。
また、効果的なリーダー確保のためには、企業が「リーダーシップ・ブランド」を磨くことを忘れてはならない。リーダーシップ・ブランドとは、有能なリーダーを確保する組織能力を評価したものである。たとえばヒューイット・アソシエイツでは、二年おきに「トップ・カンパニー・フォー・リーダー」(Top
Companies for Leaders) という調査を行っているが、この調査にご参加いただいた企業には、自社のリーダーシップ・ブランドが分かるデータを無料でご提供している。(ご関心のある方は弊社までお問い合わせください)
リーダーシップ・ブランドを磨く
「優れたリーダーを確保できる企業」としてのブランドを構築するには、
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優秀なリーダー予備軍が、本物のリーダーとして育つことができる環境があること
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外部のリーダー候補者にとって、会社が魅力的でやりがいのある場所と映ること
が鍵となる。このうち2番は各種のPR戦術で対処することになるが、1番に関しては図のような「リーダーシップ・トータルシステム」で臨まなければならない。
リーダーシップ・トータルシステムについての詳しい説明はヒューイットのコンサルタントにお聞きいただきたいが、ここで一点だけ言及しておきたいのは、「リーダーのエンゲージメント」である。
リーダー開発の根深い問題
組織の要所ごとに配置されるリーダーたちの重要な役目は、
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会社の目標と部下たちの個人的目標とを上手に結び付け、「自分にとっての自己実現が会社の成長につながる」状況をつくり、
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部下たちが活き活きと自発的に目標達成に邁進するよう、鼓舞し支援する
ことにある。
このような状態が実現できたとき、その組織は「エンゲージメントが高い」といわれる。
ところが、ヒューイットの調査では、組織のエンゲージメントを高めるべきリーダー自身の少なくとも25%以上が、
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組織目標と自己目標との一致を感じていない
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日々、活き活きと楽しく働けていない
ということが分かった。
つまり、組織を活性化するためには、まずリーダーたちのエンゲージメントを高めなければいけない。考えてみれば当たり前のこと。しかしそれが未着手であるのが、現実の多くの企業の姿なのだろう。
最近では、リーダー開発とエンゲージメントに関する依頼が、ヒューイットに多く寄せられるようになったが、これは、この点にはっきりとした問題意識を抱く企業や経営者が増えてきたことの表れだと思われる。
これからのリーダー開発は、頭と体を鍛えるだけでなく、心のチューンアップにまで踏み込むこととなろう。(了)
文責 舞田 竜宣