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各種年金プランの傾向

企業は今こそ従来の退職金制度に立ち返る時ではないでしょうか?

数年前まで、企業が提供する退職金制度に加入していた従業員の多くは、確定給付型の年金制度に加入をしていました。この制度では、従業員が退職すると残りの生涯に渡り、企業から毎月年金が支払われていました。しかし、ここ20年間で多くの企業がこの年金制度を中止、または縮小する傾向にあります。議会が企業に対して制度の信頼性をより高めるため、財源を強化するよう要求したことを受け、企業はこの確定給付型年金制度の規模自体を縮小する方向でこの要求に対応した結果と言えます。このように、従業員の退職後も毎月一定額の支払いを保証するということは企業にとってリスクであり、同時に余りにも重い財政負担でした。

その結果、多くの企業はより負担の少ない年金制度の採用をし始めました。すなわち定額給付金の無い確定拠出制度です。後にIRSコードのセクション401(k)が承認され、従業員に対して繰り延べ課税式の退職貯蓄が認められました。一般的には「401(k)」と称されるこの制度は、確定拠出制度の中で最も一般的なものとなりました。

401(k)では、従業員の退職金はその従業員がどの程度拠出したか、企業がどの程度対応したか(該当する場合)、また従業員がいかに賢く投資したかに左右されます。その結果、401(k)は投資のリスクを企業からその従業員へとうまく転嫁させたこととなったのです。つまり、雇用者側はもはや一定の生涯給付金を保証する必要はなくなり、単に出資さえすればよくなったのです。その代わり、従業員は自身の資金投資に対する裁量を得、転職の際には自身の退職資金を持って動くことができるというようになったのです。

これで一見、退職金の問題は完全に解決したように思われました。

行き過ぎではないでしょうか?

多くのアメリカ人従業員が、退職後の安定した生活を保証する主な手段としてこの401(k)制度に依存しています。ボストンカレッジのCenter for Retirement Researchの分析によると、今日、会社が提供する年金制度を持つ全世帯の60%近くが確定拠出制度の最も一般的なである401(k)のみに依存し、20%が従来の年金制度のみ、残り約20%がこれら双方に依存しています。

Employee Benefit Research Institute(EBRI)の試算によると、約4,700万人のアメリカ人従業員がプラン数がおおよそ36万7千ある401(k)に出資しています。これら401(k)における退職金資産の総額は推定で2.4兆ドルに達すると言われています。

ワシントンD.C.に拠点を置く投資信託事業者協会Investment Company Institute(ICI)の報告によると、企業がスポンサーとなっている退職金制度における投資信託の資産は、2001年に合計1.2兆ドルに達しました。このうち401(k)の資産は推定で7650億ドルにまで達します。これに対し、1991年の401(k)の資産はわずか460億ドルでした。

1990年代後半には株式市場が高騰し、従業員の401(k)が従来の年金制度よりも快適な定年後の暮らしをもたらすのは当たり前のことと思われました。結果、多くの従業員が自社株や株主体の投資信託で自身の401(k)への投資を増やしました。

しかし、ここ2年間で市場が下落し、ある推計によると多くの従業員が自身の401(k)貯蓄残高が30パーセント近くに減少する状況を目の当たりにしています。この市場急落の犠牲となった最近の定年退職者は、彼らの資産が残りの資産を支えるに十分とはもはや確信できないという不安にさいなまれています。

2つの側面

株式市場の下落傾向とともに、最近の不安定な経済情勢のため確定給付型の年金制度と401(k)の違いが浮彫りになっています。長期に渡った上げ相場が追い風になって401(k)は普及してきましたが、その一方で、ここ2年間の株式市場での損失により401(k)の持つリスクが露呈する結果になりました。長引く下げ相場によって、古くからの、支払いが保証された従来の年金制度が、再び脚光を浴びる結果となりました。

現在401(k)で資産を持つ労働者が相当数であるにも関わらず、組合組織を持つ大手製造業、公益企業、州や地方政府の公務員の間では、依然として従来の年金制度が一般的となっています(公共部門で働く従業員の年金制度は、民間の被雇用者の受ける同様の制度よりも手厚い場合が多い)。こうした従来の年金制度に加入している従業員は、市場の動向に連動せず、定年後に安定した収入が保証されているこの制度に感謝し、また、高く評価しています。

この停滞期にあって、従来の年金制度により生涯に渡り毎月一定の収入があると分かっていることは、定年退職者や定年間近の従業員にとって安心できることです。場合によっては年金額が現在の給料の75~80パーセントになるという事実は、さらに心強いものです。教師、警察官、その他の州や地方の公務員は最終的な平均給与の相当な割合が約束されるのに加え、定期的な物価上昇に応じた上乗せ分も約束されています。

もちろん従来の年金制度も急落する市場において全く損失がないわけではありませんが、その損失は一般的に従業員に対して保証された支払いに影響を及ぼすものではありません。一方で、資金の枯渇した401(k)を持つ従業員は早期退職を控えたり、セカンドハウスの購入を先送りしたり、長い間楽しみにしていた旅行の計画をキャンセルしなければならない恐れもあります。彼らは快適な定年後を待ち望むのではなく、再就職という未来に直面しています。こういった退職者が確定給付型制度の対象者と立場を交換したいと望んでいることは疑いようがありません。

流れは変わりつつあるのでしょうか?

ゴールドマンサックスのチーフUSエコノミストであるWilliam Dudleyは、株式市場を原因とした退職貯蓄の消滅は従来の年金制度への揺れ戻しを引き起こす可能性を指摘しています。現在審議されている法律では、政府が法人税に優遇税制を適用し、従業員が転職する場合に、転職先にも転用できる従来の年金制度を提供できるよう企業間で協力することを推奨しています。

企業やその従業員にとって、より魅力的な確定給付型年金制度を提言する専門家もいます。例えば、American Academy of ActuariesはDB-Kと称するハイブリッド制度を推進しています。この制度は確定拠出型制度と共通の特徴を持っており、従業員に自己資産の投資に対して指示を行える自由を認めています。但し、正に将来の年金制度のように従業員が同時に自身の資産管理を企業に委ねる選択をすることもできます。この場合、雇用者は最低利回りを保証します。

現在の年金問題を一層複雑にしているのは米国における人口の高齢化です。ベビーブーム世代の大多数(推定7700万人)が不十分な資金で定年を迎えようとしていることを念頭に置いた場合、政治的圧力が企業の従来の年金制度の復活に関与する可能性も考えられます。さしあたって、企業はどういった法律(そのような法律があればの話)が成立するかに関して静観する態度を取っているのが現状のように思われます。

従来の年金制度に加入している平均的な労働者は、401(k)で投資した労働者と比較して、より安定した退職後を保証されているのでしょうか?必ずしもそうとは言えません。そもそも支払われる金額は勤続年数や給料といった要因を基に変化することを覚えておく必要があります。しかし、少なくとも当分の間は急騰する401(k)の残高を眺めていた日々は終わりを告げたと言えます。

1EBRI Research Highlights Retirement and Health Data, Issue Brief #229, January 2001

 

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